アメリカがパレスチナ支援を凍結する意味
国連の安全保障理事会で25日、パレスチナ情勢をめぐる議論が行われ、各国からアメリカによるエルサレムの首都認定や、国連パレスチナ難民救済事業関連への拠出金を一部凍結したことを非難する声が多く上がっています。
アメリカのヘイリー国連大使は、「和平実現に必要な素質を欠くパレスチナの指導部に追いすがることはない」と表明しました。
さらに、ヘイリー国連大使は、「オスロ合意」を凍結したことや、アメリカによる和平交渉を仲介することを拒否したアッパス議長を非難しています。
アメリカのイスラエル首都の認定から、アメリカとパレスチナの対立が顕著に現れ始めているように感じます。
アメリカのパレスチナ支援を一部凍結する意味は何なんでしょうか?
オスロ合意、アッパス議長についても理解を深めようと思います。
【オスロ合意】
1993年、ノルウェーで議論が重ねられ、パレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルの間で合意したものです。一時的な自治区をヨルダン川西側とガサ地区をパレスチナ人によって実施すると認めた合意文章で、1995年に、ワシントンで調印されました。
アッパス議長は、エルサレムをイスラエルの首都にしたことに憤慨し、さらにアメリカ側はパレスチナ支援の一部を凍結するとしたことにより、和平合意であったオスロ合意の見直しを主張しています。両国間の秩序の乱れは、混沌とした紛争に突入するかもしれません。
【アッバス議長】
2004年からPLO執行委員会の委員長です。
そもそも、PLOはオスロ合意まで武力組織としてテロ行為等を繰り返していましたが、オスロ合意後、イスラエルとの二国間共存に舵を切ったのです。アッパス議長は、二国間共存としてのPLOの代表となります。また、PLO議長はパレスチナとアラブ人の代表としての立場でもあります。
【アメリカの狙いとは?】
ヘイリー国連大使も言及しているように、パレスチナの代表としての資質の弱さを指摘しています。
つまり、今後パレスチナが武装してもイスラエルに勝てないと踏んでいるのでしょう。
パレスチナが二国間共存の道を歩んでから20年以上経過していますし、度重なる内戦に負け、ヨルダン川西側とゴア地区を自治区としてしか認められていない状態です。イスラエル側に立つアメリカにとってパレスチナへの支援の援助はアメリカにとってプラスにならないという判断なのだと思います。
アメリカファストということで、マニフェストを実行しているのでしょう。